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エネルギーで一身独立

自由・自立・自律と、エネルギー問題を中心にサステナビリティに関する有益な情報を提供するための記事を書いています。

アメリカのシリア空爆


衝撃的なニュースが入ってきたので、政治学徒として記事を書いてみたい。

早稲田大学最上敏樹先生も指摘しているが、今回の空爆は人道的介入や、国際法上正当な武力行使と呼ぶことは難しい。

人道的介入とは、「原則武力行使が禁止されている国際法における例外として、他の手段がないときに人道危機を改善するために行われる武力行使」である。

正しい人道的介入の条件について押村高は、

1「深刻な人道危機の存在」
2「領土政府が対抗する意思も能力も持たない」
3「他の手段が効果的でない」
4「安保理が責任を負う」
5「複数の国が加わる」
6「軍事的手段が目的に見合ったものである」
7「非戦闘員が攻撃対象から外されている」
8「国際法違反を犯した場合処罰される」
9「介入後も介入対象国の領土の一体性が保たれている」
10「正当政府の樹立が、国連によって行われる」

などの条件を上げている。残念ながら今回の空爆は、これらのうち1や2などの条件しか満たしておらず、正当な人道的介入とは呼べないし、トランプ大統領も「人道的介入」と呼んでいない。

トランプ大統領は今回の空爆の根拠を、化学兵器使用の非人道性と、化学兵器イスラム国などにわたった場合にアメリカが脅威に晒されるという根拠から説明している。しかしどちらも国際法で原則禁止されている武力行使の根拠とするには、薄弱であることは否めない。

国際法で認められている武力行使は、自衛権の行使と、安保理に授権された多国籍軍による武力行使である。
NBC兵器を持っている、もしくは持っている疑いのある国を先制攻撃して良いと認める国際法学者は、大勢を占めているとはとても言えない。

空爆という手段にも問題がある。90年代にソマリアに地上軍を送り込んで米兵を殺されたトラウマから、アメリカはコソボ紛争の際にも地上軍を送らず空爆を選択した。しかし本来人道的介入とは、人道危機を救うための究極の自己犠牲である。そのような行動に出る際に、介入側の犠牲を気にして、介入の効果を弱めるようなことは許されないのである。しかし現状では、米兵の犠牲を出さないことが優先され、空爆という手段がとられるのが常態化している。

日本政府は、現状同意も批判もせず、「理解を示す」という表現をとっている。日本の安全保障の最大の課題は、アメリカと協力して中国を抑止することなのだから、アメリカの行動を露骨に批判することは出来ないし、とるべき策ではない。

国際正義の論理 (講談社現代新書)

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