一身独立

多動性を発揮し、「21世紀の百姓」を目指す27歳元エリートのブログ。

ドイツの再エネ普及成功の要因

ドイツは世界4位の経済力を持ちながら、電力構成に占める再エネの割合を上げることに成功してきた。2000年には6.6%だった電源に占める再エネ比率は、2015年には30%となっており、「基幹電源」としての役割を果たしていると言って差し支えない。このようなことがなぜ可能だったのか。大きく分けて5つの要因が挙げられる。

高い数値目標

ドイツは2022年に原発から撤退することを決めている。それを補うのは徹底的な省エネと爆発的な再エネの普及である。

省エネ(エネルギー効率化)については、1次エネルギー消費を。2008年比で2020年に20%、2050年に50%削減する予定だ。電力消費量では、2008年比で2020年に10%、2050年までに50%という目標を掲げている。

再エネの方も意欲が高い目標が並ぶ。電力に占める再エネの割合は2020年に35%、2030年に50%、2050年に80%という目標となっている。

これらの対策を踏まえ、1990年比で2020年に40%、2030年に55%、2050年に80~95%の温室効果ガス削減を実現する。

FIT

FIT(Feed-in Tariff:固定価格買い取り制度)とは、電力事業者に再エネで発電された電力を一定期間固定価格で買い取り続けることを義務付ける制度である。この制度は、再エネ事業者の収益見通しを立てやすくし、新規参入と学習効果による電力価格の低下と、再エネ普及がもたらされることを意図している。

日本のFITは「九州電力ショック」に現れたように、再エネの「優先給電(再エネの電力を優先して系統運用をすること)」が徹底されていないので、FITととしては片手落ちであり問題がある。

発送電分離と送電網の中立化

電力自由化によって市場競争と電力価格低下がもたらされるためには、重要な前提条件がある。それが発送電分離と送電網の中立化である。発送電分離とは、独占的な発電会社が独占的に送電網も管理している状態を解消し、発電会社が送電網を利用して直接小売りを出来るようにする制度である。

このためには送電網の利用料である「託送料金」の価格や、送電網運用を中立に行っているかどうかを監視するTSO(Transimission System Operator:送電網制度運用者)の存在が必要になる。

ドイツでは2005年にTSOが設置され、大手電力会社が自分たちの発電・小売り事業に有利で恣意的な運用を行っていないか監視している。

日本では「電力広域的運営推進機関」が2015年に発足し、その役割を担っている。しかし大手電力会社が「接続可能量」なる不可思議な概念を持ち出して、優先給電の原則を破ったり、系統連係費用として発電事業者に費用を請求するなど、送電網の中立化、準公共財化は道半ばである。

地域発のイニシアティヴ

ドイツの再エネ電力所有者は、約半分が市民や協同組合であり、事業者が主導しない案件が多いことが解る。このような電力事業・会社はシュタットヴェルケ(Stadtverke)と呼ばれ、地域の住民から頼りにされている。

日本でも東京や各地方で同様な動きは見られる。しかし政策決定において、ドイツほどのプレゼンスがあるとは言えない。

上記FITを運用する際にはこのような地域の零細組織でも、収益を上げられるような制度設計が求められる。

産業振興

太陽光発電所や風力発電所の建設が増えれば、建設会社や工務店にお金がまわる。特に風力発電機には2万点を上回る部品が用いられているため、先進国で新たな雇用を生むことの出来る裾野の広い産業である。

日本は自動車産業が発達しており、自動車の3万点に及ぶ部品をつくるための工場が、基幹産業として雇用を生んでいる。日本における風力発電産業振興は、直接多くの雇用を生むことが出来る。

ドイツは先んじて再エネを導入することによって、技術を高め、他国での事業展開も見据えている。

日本の産業界も、近視眼的な費用増を気にするのではなく、持続可能な世界を見据えた長期的視野を持つことが求められる。


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