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エネルギーで一身独立

自由・自立・自律と、エネルギー問題を中心にサステナビリティに関する有益な情報を提供するための記事を書いています。

輸入に依存する化石燃料:その三つのデメリット


エネルギー問題に少しでも興味を持ったことのある人なら、「日本のエネルギー供給は、輸入される化石燃料に依存している」という事実を耳にしたことがあるだろう。2014年の一次エネルギー供給に占める化石燃料の割合は、92%であり、2013年度の海外からの化石燃料依存度は88%である。
化石燃料の輸入依存は、日本に三つのデメリットをもたらしている。

一つ目は燃料購入費用として海外に富が流出する点である。東日本大震災以降、日本の電力供給の3割を占めていた原子力発電が使えなくなった。天然ガスの輸入量が増え、古い石油火力発電所が復活するなど、火力発電が原子力発電分を穴埋めする役割を担った。
化石燃料の輸入量の増加、原油LNGの市場価格の上昇、為替の円安方向への推移などにより、化石燃料の輸入額は2010年度の約18兆円から2014年度には25兆円と約7兆円増加した。貿易収支は震災のあった2011年に赤字に転落、その後も2015年度まで継続して赤字で、2013年度には13.8兆円、2014年度には、9.1兆円と大幅な赤字を記録した。
一方でこれらの富が国産エネルギーに投入されれば、国内でお金の流れが生まれ、雇用が生まれる。将来的には自前でのエネルギー供給を目指すべきだ。

二つ目は供給途絶リスクに晒される点である。エネルギーや電力は、インフラであり、一瞬足りとも供給途絶が許されない性質を持っている。日本における既存のエネルギー・インフラの供給途絶リスクは、二点に分けられる。
一点目は、海外から輸入される化石燃料の供給途絶リスクである。経済産業省のウェブサイトによれば、2013年度の石油輸入に占める中東依存度は83%に上る。ホルムズ海峡やマラッカ海峡のようなチョーク・ポイントで有事があれば、直ちに日本人の生活は危機に晒されるのである。
二点目は、日本国内での供給途絶リスクである。海沿いに立地している製油所や火力発電所原子力発電所が使えなくなった場合、日本はエネルギーや電力の供給途絶リスクに晒される。特に電力供給における既存の火力・原子力発電に頼った電力網は、一基一基の供給量が大きく、一基がトラブルで供給できなくなっただけでも、重大な供給途絶につながるリスクがある。このような大規模発電所への依存リスクは、東日本大震災直後の計画停電で、明らかになった。
このようなリスクを踏まえ、分散型エネルギーによる供給への移行が叫ばれるようになったことは、意義深い。政府も「電力システム改革」のかけ声の下、市場メカニズムを活用した電力制度の普及を実施に移している。

三つ目は、環境汚染・人的被害の加速である。火力発電所は大きく分けて二つの公害をもたらす。温室効果ガスの排出による気候変動(地球温暖化)と、大気汚染物質排出による大気汚染である。まずは気候変動について説明しよう。
現在の日本の火力発電所の中心は、石炭火力発電所天然ガス火力発電所である。石炭火力発電で排出される二酸化炭素(気候変動の原因となる温室効果ガスの中で、最も寄与度が大きい)の排出係数は、天然ガスの約2倍弱である。同じ量の電気を生み出すのに、2倍弱の二酸化炭素を排出するのだ。
気候変動の被害というと、「北極海の氷が解けてシロクマが住めなくなる」「島国が沈む」といった日本から遠い世界のことと思いがちだ。しかし日本においても、台風の激甚化や農作物の適地変化や海水温上昇の上昇といった形で人的・経済的被害や環境汚染が既に顕在化している。また将来にわたる被害も予測されている。例えば2100年に最大約84センチメートルの海面上昇によって、東京のゼロメートル地帯の多くが使えなくなる恐れがある。このように気候変動の被害から、日本だけ逃れることは出来ないのである。
続いて大気汚染について説明しよう。中国における深刻な大気汚染がニュースになる一方で、先進国において大気汚染問題は克服されたイメージがあるかも知れない。しかしいまだに石炭火力発電所などによる大気汚染は、人々の健康を奪っている。環境NPOの調査によれば、2013年の日本において、1日あたり180人の早期死亡が大気汚染によるものと推定される。また東京・千葉エリアにおいて、現存する石炭火力発電所建設計画が実施された場合、その影響は年間260人の早期死 亡者数と、30人の低出生体重児として現れると推定している。大気汚染は、先進国において影響の見えにくい「見過ごされた公害」となっている。このような状況を利用して、石炭火力発電所の建設を正当化する向きには、注意が必要である。


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