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エネルギーで一身独立

自由・自立・自律と、エネルギー問題を中心にサステナビリティに関する有益な情報を提供するための記事を書いています。

【政治経済の用語解説】集団安全保障


集団安全保障とは、国際連盟の設立期に構想され、現在も国際安全保障の基礎となっている概念である。

第一次世界大戦以前、欧州列強は同盟を結ぶ相手を自在に変え、仮想敵国を抑止することで安全保障を進めていた。しかしこの外交手法は、相互不信と軍拡を招き、二度の世界大戦を防ぐことが出来なかった。

そのような反省の下、構想されたのが集団安全保障である。

その最大の特徴は、外部ではなく内部に紛争の原因を想定する点である。

勢力均衡の場合、A国がB国からの安全保障を得ようとする場合、C国と同盟を組みA国陣営とB国陣営の力をバランスさせるという選択しかない。しかし集団安全保障の場合、A国への侵略の脅威を全ての国が共同で排除することを約すことによって、A国のみならず全ての国の安全保障を達成することが目指されている。

理論的には達成可能なはずの集団安全保障だが、国連発足時には想定されていなかった激しい冷戦によって、機能する場面を失うことになった。

集団安全保障が機能するためには、どの主体が「国際の平和と安全」を脅かしたかについて、国際社会(特に安全保障理事会)の間で一致した見解が得られる必要がある。そうしなければどの主体に対して国連が正義を執行すれば良いのか判断出来ないためである。

冷戦時代には西側と東側の利害が対立し、安全保障理事会はほとんど機能する場面を得られなかった(その要因である拒否権は必ずしも悪いものではない。採決方法を多数決にしてしまうと、安保理の制裁が大国同士の対立を決定的な域に到達させてしまい、第三次世界大戦をもたらす可能性を生むためである)。
イラク戦争やシリア内戦を見れば理解出来るように、この構図は今も変わっていない。

実は日米安全保障条約が結ばれるまでは、日本の防衛を国連の集団安全保障の精度に委ねようという意見さえあった。集団安全保障は当初は機能するものと期待されていたことの証左と言えよう。

集団安全保障が最も機能したと言われるのが湾岸戦争である。国連加盟国のイラクが同じく国連加盟国のクウェートに侵略。国連決議の授権を得た多国籍軍イラク軍をクウェートから放逐し、イラクに対して国際社会が一致して制裁を加えた。

このように書くと、一見「正義の多国籍軍」が「悪のイラク軍」を実力で排除したように見える。しかし全ての戦争は正義と正義のぶつかり合いである。フセイン旧宗主国の身勝手な領土分割などを不正義として主張していた。しかしそれでも世界のほとんどの人はクウェート「解放」を喜び、正義がなされたと感じただろう。「疑似国際正義」の芽生えと呼べる現象が起きたのである。

集団安全保障は、武力不行使原則を担保するための肝であり、不完全ながら現在まで国際安全保障の基盤の一つであり続けている。

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