一身独立

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科学的方法論の根本――ポパーの反証主義


今日はポパーを参照しながら、学問の根本である科学性について考えてみたい。

ポパー反証主義

科学と似非科学の違いはどこにあるだろうか。「私には超能力がある」と言う仮説は、科学的だろうか。「100回中99回コインの裏表を当てられたら」超能力者と認められるだろうか。
ある仮説について根拠を並べることは、ある意味でとても簡単だ。しかしある仮説が科学的であるかどうかの判断は容易ではない。

この問題を深刻に捉えたのがカール・ポパーである。
ポパーはこの問題についてある意味でパラドクシカルな主張をした。つまり間違いを証明することが可能である仮説のみが、科学的だと主張したのである。この反証可能性を、科学の要件としたのだ。普通に考えれば、科学は正しさを競うものだと思うだろう。この裏切りが、ポパーの主張を魅力的にしている。

典型的な反証可能性のない仮説は、「シミュレーション」仮説と呼ばれるものである。この世界に起こる全ての出来事は、コンピュータ・シミュレーションだという主張だ。(注:例示が解りづらい、という指摘をもらったので、説明を加える。シミュレーション仮説というのは、神のような全知全能の存在が行っていて、この世のあらゆる事象は彼によって観察されている、という主張である。どんな不思議なことも彼の予測の範囲内という主張を行うことが出来、反証可能性がない)この仮説に従うと、全ての出来事はこの仮説によって説明されてしまう。全てのことを説明出来るということは、逆説的だが、何も説明していないに等しいのである。

反証可能性の重要性を認める者を、反証主義者と呼ぶ。私の所属する学部では、広く共有されている重要な理論だ。

ポパーの矛盾

ポパーは、ヘーゲルマルクスなどの主張をひっくるめて「歴史法則主義」と呼び批判した。彼らの主張はXという出来事の次にYという出来事が起きるという仮説によって成り立っている。しかしポパーは、今までXの次にYが起きていたとしても、これからもXの次にYが起きるとは限らない、と主張する。
ポパーは徹底的に帰納を問題視したのである。

一方ポパーの主張は、矛盾も抱えている。ポパーの主張する「進化論的科学論」によれば、古い科学理論は最新の実験や観察データによってどんどん覆され、真理に近づいていく。しかしこの主張はポパーが批判した「歴史法則主義」と同じ要素を持っており、反証可能性がない。

万能の説明や根拠がないように、批判を生まない完璧な科学者などいないということだろう。

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