一身独立

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オバマ政権のアジア・リバランス――クリントン元国務長官のエッセイより


Foreign Policyに2011年11月10日に掲載されたヒラリー・クリントン氏(当時国務長官)のエッセイである"America`s Pacific Century"(http://foreignpolicy.com/2011/10/11/americas-pacific-century/?wp_login_redirect=0)は、オバマ政権の外交政策について、解りやすくまとめている。本投稿ではこの記事を紹介したい。

このエッセイは、アジア太平洋地域の国々との関係が、アメリカ合衆国にとって死活的に重要であることを改めて示したものである。アメリカ合衆国の発展のためには、アジア太平洋の開放的な貿易が必要であることを述べ、単独主義を取りアフガニスタンイラクにコミットしたブッシュ前政権とは異なる政策を取っていくことをこの記事は表明している。 特に同盟関係にある国や、大国である中国・インド・インドネシアとの関係を、今後も強化・維持していき、単独主義から距離を置く旨を述べている。

クリントン氏は、アメリカ合衆国アフガニスタンイラクに深くコミットしたことによって、アジア太平洋地域の同盟国に割かれるリソースが減り、同盟国への拡大抑止による介入コミットメントの信憑性が怪しまれていることを踏まえて、このようなエッセイを発表したと推察出来る。

拡大抑止を機能させるには、介入コミットメントの信憑性を確立する必要があり、介入コミットメントの信憑性を確立するということは、介入する能力や政治意思のある国を、そうでない国から峻別する必要がある。
この点、このエッセイでは、日本・韓国・オーストラリア・フィリピン・タイを名指しし、これらの国々とアメリカ合衆国の同盟が、これらの国々の経済成長や、アメリカ合衆国のアジア太平洋地域におけるプレゼンスの維持に寄与したことが述べられている。これらの言及の意図の一つには、拡大抑止による介入コミットメントの信憑性の確立がある。

また未だアメリカ合衆国と同盟を結んでいないヴェトナムやマレーシアなどの国に対して、これらの言及は「アメリカ合衆国と同盟を結べば、拡大抑止の恩恵を受けられる」というシグナルを送ることになる。このように中国に関与しつつも「航行の自由」を主張し同盟・提携国のチェーンを形成することによって、中国を抑止するという大戦略を、国務長官が暗に示したことは、中国の脅威に晒される同盟国やアジア太平洋地域の国々の政策担当者を安心させる意図があったと思われる。

このエッセイにおいて、クリントン氏はアジア太平洋における重要なイシューとして「南シナ海の航行の自由」を挙げており、中国の現在の政策を容認する意図はない。

重要な焦点の一つとして挙げられるのは、南シナ海で中国との紛争を抱えるマレーシアやヴェトナム、中国との国境紛争を抱えるインドなどが、どれだけアメリカ合衆国との間で軍事的協調路線をとるかである。それらの国々がアメリカ合衆国と同盟を結べば、合同軍事演習や「巻き込まれるリスク」などの形で莫大なコストを支払わなければならない。それらの決断を各国政府が取るかどうか、注視する必要がある。


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