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エネルギーで一身独立

自由・自立・自律と、エネルギー問題を中心にサステナビリティに関する有益な情報を提供するための記事を書いています。

洋上風力発電は日本で普及するか


私は以前から洋上風力発電に注目している。

再エネで唯一

洋上風力発電は、再生可能エネルギーで唯一大規模プロジェクトが可能な電源であることがその理由だ。エネルギー自給率の向上と、気候変動対策のためには、再生可能エネルギーへのシフトは不可欠であり、その手段として大きな役割を洋上風力発電は果たしてくれると想定している。

日本では実証機も含めて、2014年時点で279万kwの洋上風力発電が稼働している。業界団体の目標では、2050年までに3700万kwまで伸ばし、日本の電力の約10%を賄う想定だ。

日本のエネルギー安全保障上の課題として、自給率の低さが挙げられる。これが化石燃料の燃料費の乱高下に、日本の貿易収支や経常収支が左右される状況を招いてきた。洋上風力発電には、国産大規模電源としての期待がある。

洋上は陸上と異なり、風車の大型化が可能だ。福島の小名浜沖で稼働している7MWの実証機は、高さが189メートルになる巨大構造物だ。こんなものを置けてなおかつ安定した風が吹く地点は、陸上にはほぼないだろう。

また洋上は陸上に比べ安定して風が吹くため、設備稼働率が上がる。陸上風力の設備稼働率は25%と言われている。一方欧州の洋上風力発電の設備稼働率の平均値は42%である。陸上よりもより天候に左右されにくいと言えるだろう。

シェール開発との類似性

先日洋上風力発電に詳しい方から話を聞く機会があった。彼の話で特に面白かったのが、アメリカでのシェール・ガス開発と、西欧・北欧での洋上風力開発の類似性だ。シェール・ガスやシェール・オイル開発は、当初中国、欧州、アルゼンチンなどアメリカ以外でも大きな埋蔵量が見込まれ、世界中に波及するかと思われた。しかしシェール燃料を採掘するための方法である水圧破砕(フラッキング)に用いられる水を調達できないことや、地下水汚染の懸念などから、アメリカ以外での生産は伸びなかった。

逆にアメリカでシェール・ガスの開発が進んで理由としては、国内に既に天然ガスパイプラインが整備されていたことや、地下資源が私有であることなどが挙げられる。こういったいくつかの条件が整った結果、アメリカでシェール・ガスやシェール・オイルの開発が進んだのだ。

一方洋上風力発電の中心である西欧・北欧は、北海油田掘削の経験によって、海底のデータの蓄積があるなど、洋上風力発電開発を行いやすい環境が整っていたという。
そういった事業環境の差が、西欧・北欧以外での洋上風力発電普及を妨げる恐れもある。実際日本では、海上の風況のデータが整っているとは言えないそうだ。それもこれからの日本での普及の課題の一つとなってくるだろう。

普及のための課題

日本における風力発電のポテンシャルの1/2は北海道、1/4は東北にある。当面の普及のためには、東北での洋上風力発電の電力を、需要の大きい首都圏が買い取る構図が描ける。そしてその先には北本連系線(北海道と本州を結ぶ電力系統)を増強し、北海道で発電した電力を首都圏に送ることが出来れば、日本で洋上風力発電はよりメジャーになっていくだろう。

また風力発電機は、約2万点の部品を必要とする裾野の広い産業である。ガソリン自動車の約3万点には及ばないものの、日本で部品メーカーを育てられれば、雇用増につながる可能性を秘めている。
そのためには日本メーカーが世界大でシェアを取ることが必要だが、現状はさみしい限りだ。陸上風力ではトップ10にも入れず、洋上風力発電に至ってはドイツのシーメンスが6割、デンマークのヴェスタスが3割のシェアを占めている。
この分野で日本が稼いていくには、政府・メーカー・電力会社・地方自治体・建設会社などが一体となった取り組みが必要だろう。


【参考文献】
岩本晃一(2012)『洋上風力発電――次世代エネルギーの切り札』日刊工業新聞社
山家公雄(2012)『今こそ。風力』エネルギーフォーラム新書
山家公雄(2013)『再生可能エネルギーの真実』エネルギーフォーラム

今こそ、風力 (エネルギーフォーラム新書)

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再生可能エネルギーの真実

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