一身独立

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【書評】『石油を読む』


この本の素晴らしい点は「国際石油市場の実態とは?」という疑問に答えている点にある。ほとんど知られていない事実についても、多く述べられているのでその一部を紹介したい。

1)OECD諸国は全世界の石油の生産量の3割を占める。この割合は中東諸国とほぼ同じ。

2)国際石油市場は、ミクロ経済学が想定する競争的市場の条件を満たす側面と満たさない側面がある。

前者の競争的市場の条件を満たす条件は、寡占・独占がない点にある。つまり市場参加者全員がプライス・テーカーという点である。かつてカルテルを形成していたBP・シェルなどのメジャーや、OPEC諸国も、今は価格を支配する能力はない。
後者の競争的市場の条件を満たさない点は、情報の不完全性にある。つまりどの国のどの機関も、リアルタイムに石油の需給の量を把握することができないのである。

3)市場の再配分機能によって、特定の国を狙った禁輸はできない。

世界で取引されている石油は、ほぼ同じ財として一物一価が実現している。これによって、世界のどこの原油も、同じ設備で使うことが出来る。さらに石油は水とほぼ同じ比重で輸送コストが低く、世界のどこから買おうと、タンカーさえ横付けできればバレルあたり1ドル程度の費用しかかからずに石油を調達できる。
例えば産油国のA国が消費国のB国を狙って禁輸をしても、B国がお金さえ積めば、他の産油国のC国から買うことができる。このようにB国が起こしたA国への供給不足を他の産油国が補うことが出来る。これが市場の再配分機能である。

石油を読む―地政学的発想を超えて (日経文庫)

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