一身独立

多動性を発揮し、「21世紀の百姓」を目指す27歳元エリートのブログ。

【書評】『パワー・ハングリー』


本書の基本的な主張は「N2N(天然ガスから原子力へ)」という言葉で代表されるとおり、天然ガス原子力の利用を次第に増やしていくべきというものだ。

だが私がもっとも刮目させられたのは、その主張を述べているパートではなく「貧困層化石燃料を」と題された17章だ。
著者は17章の冒頭で次のように述べている。


 「何度も耳にしたことがあるだろう。石油は汚い燃料で、空気や水を汚染し、地球を荒廃させているのだと。
 だが現実はこうだ。世界は石油を使いすぎているのではない。十分に使っていないのだ」(p210)


著者の言う通り気候変動や大気汚染への影響を考慮して化石燃料の大量使用を一緒くたに批判する向きは多い。
だが安価で定置利用燃料向きの石炭と、石炭と比較して二酸化炭素の排出が少なく移動用燃料向きの石油では全く使われ方が異なるため、そのような批判は当たらない。

著者は途上国の貧困層が木炭などの伝統的バイオマスの大量利用が呼吸器疾患や持続不能な森林伐採を招いていると主張する。その代替燃料としてプロパンガスなどの利用を広めれば、以下のような利点があるという。


「世界の森林や絶滅危惧種が救われるだけでなく、貧困層の健康と生活水準も劇的に向上する。そのためには、石油は悪者だという考えを捨てなければならない。石油は、代替の可能性があるほとんどすべてのものより環境にやさしいというのが現実なのだ」(p218)


ある意味では勇気づけられる主張だ。なぜなら未来の技術ではなく今ある技術で途上国の貧困層の生活を改善できるのだから。

パワー・ハングリー――現実を直視してエネルギー問題を考える

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