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エネルギーで一身独立

自由・自立・自律と、エネルギー問題を中心にサステナビリティに関する有益な情報を提供するための記事を書いています。

【書評】『人間不平等起源論』

エネルギー貧困 書評


久々の書評。最近は「地球単位での経済的不平等」およびそこから引き起こされる「エネルギー貧困」に興味があるのでこの本を再読してみた。
国際経済・開発経済学の世界では、なぜ豊かになれる国となれない国があるのかについて諸説が戦わされてきた歴史がある。なぜ19世紀の内にアジアの中で日本のみが近代化に成功したのか、という問いもそのサブ・イシューと言っていいだろう。

平等には二種類ある。

一種類目は共同体のメンバーに同等の権利を与えることだ。これはメンバーになりさえすれば手に入る。
二種類目は共同体のメンバーが残した成果に応じて報酬を与えることだ。これを手に入れるにはメンバーが共同体に貢献する必要がある。

著者によれば(注17)、古代ギリシャアテナイ人はすでに二つの平等の違いについて理解していたという。

深刻な地球単位での経済的不平等

2010年の低所得国グループの一人あたりGDPは574ドル、高所得国グループの一人あたりGDPは38,193ドルで60倍以上もの開きがある。

「極度の貧困」から抜け出せるように支援することが前者の平等に当たるのか後者の平等に当たるのか。それについては未だに議論がある。
前者にあるという意見は一見魅力的に映るが、支援を担うのは誰なのかが常に問題になる。汚職に満ちた貧困国に新たな汚職を生む可能性があるのだ。ルソー自身も


「こうした有為転変のうちに不平等はさらに激しくなるのであり、その過程をたどってみよう。第一の時期は、法が定められ、所有権が確立された時期である。第二は、為政者の地位が定められた時期である。第三の最後の段階は、合法的な権力が恣意的な権力に変貌した時期である」(p176)


と述べている。地球単位での配分的正義を実践しようとする試みが、新たな「恣意的な権力」にならない保証はない。
一方で後者にあるという意見は、先進国・先進国住民に有利な現在の経済制度を正当化する危険を秘めている。



ちなみに著者のルソーは、公教育を受けたことがなく、自らの観察と読書と知識人との交流から着想を得て論文や著書を書いていたというから驚かされる。

人間不平等起源論 (光文社古典新訳文庫)

人間不平等起源論 (光文社古典新訳文庫)


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