一身独立

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【書評】『コミュニティ発電所――原発なくてもいいかもよ?』


以前一読した本だが、現在私が関わっている事業に直接関わる本なので再読してみた。

3.11の原発事故以後、地域に根ざした再生可能エネルギー事業の取り組みが注目されるようになった。本書はそのような地域での再生可能エネルギー事業に取り組む上での心構えが主に述べられている。このように地域に根ざして再生可能エネルギー事業に取り組む主体を本書では「市民電力」(市民共同発電所、市民電力会社など呼称は定まっていない)と呼んでいる。

市民電力という言葉が耳慣れない方もいるだろう。

市民電力とは、地域住民が中心となって運営されている組織による電力事業のことだ。その過程はまず地域住民が任意団体やNPO, 事業会社を設立する。そしてその組織が自治体や設置者などの利害関係者との合意形成、事業計画書の策定、資金調達などを行い発電所を設立・運営していく。

私が現在関わっている東京都多摩市の「多摩循環型エネルギー協会」もそのような取り組みの一つだ。

これらの取り組みは近い将来には日本のエネルギー政策に対して量的な影響力は持たないかもしれない。しかし、民主的な過程を踏んでエネルギー事業を実施出来る点や地域でエネルギーを自給できる、または自給に近づけて域外への富の流出を防ぐ点などの利点がある。

本書の中で印象的だった点を挙げる。著者が地方で再生可能エネルギー普及に関する講演を行うと、必ず「原発なんかもういらない」という声が上がるという。しかし、著者の講演を聞きに来るようなエネルギー問題に関心のある人でも、二言目には「国がどんどん自然エネルギーをやってけばいいんだよ」と発言するそうだ。本書で繰り返し語られる地域でのエネルギー循環という発想に思い至らないのである。この一点をとっても地域のエネルギー自立に向けて地域住民と同じ目標を共有するのは、一筋縄ではいかないことだと感じた。

本書の物足りない点としては、経営的な観点から見た細かい数字についてほとんど触れられていないことだ。

しかし、3.11原発事故に対応する前向きな行動を模索しているけれども実行に移せていない人にとっては、行動の指針を得られる優れた本と言える。

【参考】
一般社団法人「多摩循環型エネルギー協会」
http://tama-enekyo.org/

特定非営利活動法人「環境エネルギー政策研究所」(ISEP・著者の勤務先)
http://www.isep.or.jp/


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