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エネルギーで一身独立

自由・自立・自律と、エネルギー問題を中心にサステナビリティに関する有益な情報を提供するための記事を書いています。

【ディスカッション・ペーパー】日本で天然ガスの利用を広げるにはどのようにすれば良いか?

天然ガス 日本の包括的なエネルギー政策 気候変動 ディスカッション・ペーパー


原子力再生可能エネルギーの二項対立を巡る議論がかまびすしい。
この記事では、それを無視して日本は天然ガスをエネルギー源として増やしていくべき、という提言を行う。

エネルギーの用途は三種類

エネルギーの用途は、大きく分けて三つある。輸送・電源・工場だ。輸送は石油が最適だが、電源と工場はより天然ガスを利用していくべきである。
石油は常温で液体であるため運搬性に優れている。よって、外部からエネルギー供給を行うのが難しい移動体(自動車、船、飛行機など)の燃料に適している。一方天然ガスは常温で気体であるため移動体の燃料には適していない。しかし以下のような有用性があるため、電源・工場利用では積極的に利用していくべきである。

天然ガスの有用性

ここで天然ガスの有用性を確認したい。
1. 他の化石燃料に比べて二酸化炭素を出さない。石炭に比べ40%、石油に比べ25%少ない。
2. 資源量が豊富かつ原油に比べて世界に偏在しているので、地政学的リスクが少ない。世界のLNG生産能力の上位4カ国は、カタール・オーストラリア・ナイジェリア・ロシアになると見込まれている。日本の天然ガス輸入は全量LNG(Liqufied Natural Gas:液化天然ガス)だ。
3. Return On Investment、投入/算出比率が優れている。その比率は20倍から100倍と言われており、1のエネルギーで20から100のエネルギーを得ることができる。

日本はもっと天然ガスを増やせる

日本は石油危機以降天然ガスシフトを進めてきたが、欧米に比べ天然ガスシフトが遅れているので、まだまだ天然ガス利用を広げていく余地がある。例えば2010年の1次エネルギーに占めるOECD欧州の天然ガスの割合は26%、アメリカは25%だが、日本は17%である。


天然ガス利用を増やせる余地がある理由をもう二点挙げる。
1. 近くに大きなガス田がなかった。しかしこの状況は、サハリン・東シベリア・東南アジア・オーストラリアで大規模なガス田が発見され、すっかり様変わりしている。
2. 内陸で利用できなかった。国土を縦貫するパイプラインがないため、内陸までの供給・利用方法共に限られていた。


続いて天然ガス利用を広げる利点を二点挙げる。
1. エネルギー源の多元化。多元化はエネルギー安全保障の基本中の基本。
2. 国内価格の低廉化が期待できる。パイプラインの通っていない国内の地域は、ガスの価格が高い。

このように天然ガスは広げる利点と余地がある。

では、どうすれば日本の天然ガス利用が広まるのか。

その一つの有力な手段は国土縦貫パイプラインだ。欧州や韓国・台湾にはすでにある。
日本は各国と比べてパイプライン密度が小さく、パイプラインを広げる余地がある。

国はこれまで「民間主体による天然ガス供給インフラ構築(京都議定書目標達成計画より)」を推進してきた。

しかし、すでに資源エネルギー庁は方針を転換し計画が具体的に動き始めている。


資源エネルギー庁『我が国の天然ガス及びその供給基盤の現状と課題』2012年1月17日
http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/sougou/kiban_seibi/001_06_00.pdf


国土縦貫パイプラインができた際の利点として考えられるのは、以下の三点だ。
1. 内陸も含めた日本全国で天然ガスを同じ値段で買えるようになる。
2. その効果として、内陸に工場を立地する企業が増えて雇用が生まれることが想定できる。
3. LNG基地が壊れるような災害があっても、パイプラインがあれば他地域からガスを融通することができる。重要なインフラストラクチャを早期に復旧できる。

大型公共事業にならざるを得ない点をどう見るか?

利益が見込める投資ならば、果敢に取り組んで欲しい。無駄な公共事業と揶揄されるような代物にならないことを願う。


【参考文献】
石井彰(2011)『エネルギー論争の盲点――天然ガスと分散化が日本を救う』NHK出版新書
石井彰(2008)『天然ガスが日本を救う――知られざる資源の政治経済学』日経BP社
ブライス, ロバート著、古舘恒介訳(2011)『パワー・ハングリー――現実を直視してエネルギー問題を考える』英治出版


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