一身独立

自由・自立・自律と、エネルギー問題を中心にサステナビリティに関する有益な情報を提供するための記事を書いています。

【ディスカッション・ペーパー】日本も優先給電を導入すべきだ。

再生可能エネルギー普及を優先するならば、優先給電はFIT(再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度)と並ぶ重要政策である。優先給電とは、再生可能エネルギーで発電した電力を優先して系統に取り入れることである。日本では、その原則が徹底されておらず…

【書評】「エコノミスト 電気代は税金となった(その2)」

今日も経済誌の書評を書いていきたい。 今日は託送料金について。 本当に適切? 原発賠償の国民負担 政府の委員会は、7.9兆円と試算されている賠償費用のうち、2.4兆円を託送料から回収する方向で議論を進めている。これはひどい話で、日本国内において原発…

【書評】「エコノミスト 電気代は税金となった(その1)」

経済誌で気になる特集が組まれていたので紹介したい。記事を読んでいくと、原発の本当のコストを研究している立命館大学の大島堅一氏、再生可能エネルギーの研究をしている高橋洋氏、欧州の電力システムに詳しい安田陽氏など、私でも知っている研究者が記事…

『夢で語るな 日本のエネルギー』を批判する(その3)。

今日も批判をしていきたい。本書では、「日本国内に二酸化炭素排出余地はなく、海外で日本の技術を使って排出削減すべき」という主張が行われている。しかしこの主張には根拠がないと私は考える。詳しくは以下の私の論考を見てほしいが、要は日本国内には二…

『夢で語るな 日本のエネルギー』を批判する(その2)。

今日も「夢で語るな 日本のエネルギー」の批判をしていきたい。 原子力事業への評価の前提 鈴木氏は「原発問題の根本は恐怖からきている(p69)」という。しかしこの本の出版から5年経ち、原発業界を悩ませているのは人々の恐怖心ではなく、原発は割に合わ…

『夢で語るな 日本のエネルギー』を批判する(その1)。

2012年に出版された「夢で語るな 日本のエネルギー」という本を買ってみた。 これがなかなか「ひどい」内容なので、批判をしていきたい。 著者は作家の鈴木光司氏と、ウェッジなどにも寄稿している山本隆三氏だ。 一方的な批判 読んでみた感想としては、著者…

「テスラ」の新たな目標

今年の1月、業務提携しているテスラとパナソニックは、電気自動車用電池工場「ギガファクトリー」を稼働させた。https://www.tesla.com/jp/gigafactory両社は生産性の向上によって、電池にかかるコストの「3割削減」を目指しているという。 生産された電池…

日本でも起きる電力会社の「死のスパイラル」

「電力会社の死のスパイラル」とは、以下のような因果経路をたどる。(レスター・ブラウン「大転換」より引用) 「電力の一部を屋上の太陽光発電から得る顧客が増えるにつれて。その電力会社は顧客に販売する電力量が減るため、損失を被る。そして、太陽光発…

電力会社選びのポイント

2016年4月から低圧(家庭・小規模事業者)向けの電力小売りが自由化された。しかしまだまだ電力会社を切り替えたという人は多くない。その要因の一つが、情報が行きわたっていない点にあるだろう。 今日は家庭や商店の電力会社乗換のポイントを解説したい。…

気候変動対策の指針「スターン・レビュー」

「スターン・レビュー」は、スターン卿を中心にまとめられた気候変動政策の報告書である。その結論は単純で、「早期に気候変動対策を行った場合の便益は、気候変動対策を行わなかった場合のコストをはるかに上回る」というものだ。対策を講じなかった場合の…

「かさこマガジン7」が届いた!

以前会った「カメライター(カメラマン+ライター)」のかさこさんから、セルフマガジン「かさこマガジン」が届いた。セルフマガジンとは、自分の活動理念や出来る仕事内容をまとめた冊子で、無料の営業ツールとしてかさこさんが配っているものだ。毎回自費…

「帰無仮説」という工夫

今回は統計学で用いられる「帰無仮説」について解説したい。帰無仮説とは、統計的に仮説を検証する際に用いられる手法だ。通常主張したい仮説(対立仮説)とは、相互排他的な逆の主張を帰無仮説に設定する。例えばGDPが二酸化炭素の排出量に影響を与えている…

「内政不干渉原則」のメリットとデメリット

内政不干渉原則とは、他国の内政に関わる事項に関与することは許されないという国際法のことを指す。国連憲章や、友好関係原則宣言において明記されている。主なメリットは、主として大国が小国の政治に口出しや、武力介入するのを防止することだろう。冷戦…

実証政治学の役割

以前、因果メカニズムの理解が必要だという記事を書いた。flatenergy.hatenablog.com因果メカニズムをきっちりと詰められる人は政治以外のビジネスなどの分野でも重宝するだろう。政治学の分野で言えば、政治家の主張を検証することも実証的な政治学の重要な…

原爆投下と日本の核武装論

日本人にとって、原爆もとい核兵器は議論の余地なく忌避感をもたらすものだろう。広島と長崎の被害の記憶に十重二十重に伝えられてきた。 それでは加害者であるアメリカは、どのように良心の呵責と闘ってきたのだろうか。アメリカ人が原爆投下を振り返る際に…

【政治経済の用語解説】本人・代理人問題

人は何かを独力で出来ない時、誰かに頼むことがある。特に専門的な知識が必要な場合などは、「代理人」を頼むだろう。しかしこの代理人と利害が一致しない場合、希望通りにことが運ばないという問題が生じる。このような問題を「本人・代理人(プリンシパル…

人工知能の倫理

一般教養の授業の試験対策で、最先端の情報技術や人工知能について調べている。 いつの時代もそうだが、技術の進歩は新たな倫理的問題を提起してくる。例えば人工知能を載せたアンドロイドについて考えてみよう。このアンドロイドは購入した男性の好みの女性…

【政治経済の用語解説】人道的介入

人道的介入とは、当該領土政府の同意無しに人道支援を行うことである。多くの場合武力行使を伴うことから、その正当性をめぐって国際法学者・国際政治学者・外交官の間で盛んに議論が行われてきた。人道的介入が我々にディレンマを突き付ける理由は二つある…

【政治経済の用語解説】集団安全保障

集団安全保障とは、国際連盟の設立期に構想され、現在も国際安全保障の基礎となっている概念である。第一次世界大戦以前、欧州列強は同盟を結ぶ相手を自在に変え、仮想敵国を抑止することで安全保障を進めていた。しかしこの外交手法は、相互不信と軍拡を招…

【気になるニュース】スウェーデンが再生可能エネルギー100%社会への移行を表明

イギリスのインディペンデント紙によれば、スウェーデンが2040年に再生可能エネルギーで100%のエネルギーを賄うことを表明した。ちなみに日本では福島県が全く同様に、2040年までに再生可能エネルギーでエネルギーを100%賄う目標を表明している。現在スウェ…

因果関係を突き詰める力

大学で学んだ一番重要なことは、何かと聞かれたら、これだと答える。人は目標を立てる時に、何のために何をすべきかを考慮して決める。何をすべきか決めるためには、それをするとどのような結果が生まれるかという因果メカニズムへの理解が不可欠だ。 つまり…

計量分析の限界

今日は計量分析の限界について書いていきたい。 政治学、経済学、社会学などの多様な分野で有用な計量分析であるが、限界もある。 珍しい出来ごとの分析 計量分析で適切な分析を行うためには、独立変数(I原因)と従属変数(結果)に関する多量のデータが必要…

核戦略の論理

今日は核兵器を持つ国の戦略について書いていきたい。通常兵器と異なり核兵器は一発の発射で被害国に機能不全に陥るようなダメージを与えることが出来るため、従来の軍事力の政治学的論理を変えた。通常兵器を用いた武力行使へのコミットメントは、戦勝国へ…

正義と平和の二律背反

昔書いた授業のレポートを元に、今日からシリーズで国際政治について書いていきたい。 国際政治の最大の関心の一つは、戦争の防止である。 まずは戦争と平和を考える上で、重要な正義と平和の関係について考えてみたい。戦争の発生を防ぐことは平和を実現す…

環境NPOの求人

環境NPOの「気候ネットワーク」が求人を募集していたので、紹介したい。http://www.kikonet.org/support/individual/2016-12-13/staffs_recruitment勤務地は京都で、締め切りは16日だという。 了

「資源の呪い」の逸脱事例

以前「資源の呪い」に関する記事を書いた。flatenergy.hatenablog.com簡単に説明すると、「資源の呪い」とは資源国では民主化が起きにくいという理論である。しかし万能の理論はないので、「資源の呪い」にも「逸脱事例」と呼ばれる、あてはまらない事例があ…

「世界経済フォーラム」の報告書

今日は「ダボス会議」で有名な、「世界経済フォーラム」が出した書類を見つけたので、一部を抜粋していく。・太陽光発電のコストは劇的に下がっている。石炭火力発電のコストは何十年にもわたってMwh(メガ・ワットアワー)あたり100ドル程度だが、太陽光発電…

「新卒一括採用」の滑稽さ

今日はいわゆる「新卒一括採用」について書きたい。 以前に記事を書いているが、日本独特の慣習である。 flatenergy.hatenablog.com 大学の成績を重要視しない企業 新卒一括採用を行っている企業に対する最大の疑問は、大学の成績を重視していないにも関わら…

レポートを書くコツと心構え

日本の私立大学は期末試験の時期である。 今日は私が(長い)学生生活の中で身に付けた、良いレポートを書くコツについて書いていきたい。 主として、文系の学部生を対象としている。試験と並んで主要な成績評価指標となっているレポート。苦戦した経験のあ…

今、起きている再エネ革命

石油危機以後、石油や化石燃料からのエネルギー・シフトは幾度となく議論され、政策目標となってきた。しかし現在まで人類は必要なエネルギーの80%以上を化石燃料に依存している。近年再生可能エネルギー、特にソーラーと風力の価格低下が注目されている。果…

思い出深い今年の記事

間もなく今年も終わりである。今年更新した中から、思い出深い記事を紹介したい。 まずは私のロール・モデルの一人である中村氏の著書を紹介した記事である。 flatenergy.hatenablog.com 続いて紹介したい憧れのエネルギー総合企業「テスラ」の新製品を紹介…

やっぱり寂しい日本の気候変動対策

「京都議定書」という単語を耳にしたことはあるだろうか。京都議定書とは1997年に合意された国際的な気候変動対策を約した文書で、日本は2008年から2012年にかけて、1990年比で温室効果ガスの排出を6%削減する義務を課せられていた。その結果はどうなったの…

因果推論の三要件

「あの人はなぜ事業に成功したのだろう」「あんな人がなぜ選挙で当選したのだろう」などと、私たちは普段多くの推論を行っている。推論とは、原因(身長が高かったから、頭が良かったから)から結果(事業での成功、選挙での当選)を推測する営みである。学…

科学的方法論の根本――ポパーの反証主義

今日はポパーを参照しながら、学問の根本である科学性について考えてみたい。 ポパーの反証主義 科学と似非科学の違いはどこにあるだろうか。「私には超能力がある」と言う仮説は、科学的だろうか。「100回中99回コインの裏表を当てられたら」超能力者と認め…

太陽光発電の最大の強み

需要の大小に合わせて利用出来ること。 太陽光発電は、「発電が出来るかどうかが天気任せで、頼りにならない電源」だという声を聞く。事実ではあるが、これに囚われてばかりいると、太陽光発電のポテンシャルを見誤ることになる。 そもそもある地域での1年…

地球環境問題を解決する原体験

ナショナリズムの研究で調べるベネディクト・アンダーソンは、最もナショナリズムをかき立てるシンボルとして、「無名兵士の墓」を挙げている。 墓を見ている人と、その兵士の間には、国籍というつながりしかない。にもかかわらず、墓の住人を同胞として感じ…

銀行選びの新たな基準を提示する"My Bank, My Future"キャンペーン

読者諸兄は、どこの金融機関に口座を持っているだろうか。私が出入りしている気候変動対策NPOの"350.org"の日本支部が、キャンペーンのwebサイトを発表したので、紹介したい。http://mybankmyfuture.org/"My Bank, My future"キャンペーンは「口座を変えると…

ソーラー・ライト普及の利点

いつでも使えて、安全で、購入可能なエネルギーを供給するために、様々なエネルギー機器を日夜調べている。 その中で今着目しているのが、ソーラー・ライトである。 コペルニクにも製品を供給している「d-light」社の製品送電網へアクセス出来ない人は、全世…

経営学からみた環境・エネルギー問題

今日は知り合いに誘われて講演会に行ってきたので、その内容について書きたい。 テーマはエネルギーとイノベーションだった。これまで日本政府によって行われたきた環境政策について、経営学者の視点からみた批判を聴くことが出来た。例えばエコポイント政策…

「電力自由化に関する意識」調査

読者諸兄は既に電力会社を切り替えただろうか?4月に始まった電力小売り全面自由化。現在低圧で電力会社を切り替えた人は8月時点で2.2%、東京電力管内では3.9%だそうだ。 切り替えた人たちは、ちょうど「イノベーター理論」でいうイノベーターだ。我が家も…

統計学・計量分析の威力

私は政治経済学部の在校生である。 その中で学んでいることについて書きたい。 統計学・計量分析との出会い 入学当初、「政治学は経済学と違って数字を使わなくて良いから楽だ」と感じていた。しかし卒業がま近に迫った今、その感慨は全く変わってしまってい…

【ディスカッション・ペーパー】「炭素税」を機能させよ

「カーボン・プライシング」という概念がある。気候変動の最大の原因である二酸化炭素の排出に価格をつける制度のことで、炭素税や排出権取引、クリーン開発メカニズムなどが含まれる。 今日は特に炭素税について話をしたい。実は炭素税は日本で、「地球温暖…

【書評】『ネクスト・マーケット』――BOP層とはどのような人々か。

最近「BOPビジネス」について調べたり、自分で事業が出来ないか模索している。 この記事ではBOPビジネスの基本的なところに触れたい。 BOPとは? BOPとは"Base of Pyramid"(ピラミッドの土台)の略で、収入が一定水準以下の人々を指す。その水準は機関によ…

途上国のエネルギー開発における再生可能エネルギーの位置づけ

久々の更新になってしまった。 今日は途上国のエネルギー開発について少し書きたい。先日某総合電機メーカーの役員の講演を聴く機会があった。 そのメーカーは地熱発電のシステム製造事業を長年世界で展開しており、小規模なものも開発するなど、途上国が導…

分散型再生可能エネルギー普及の5つの利点

分散型再生可能エネルギーの普及を目指すプラットフォームである「パワー・フォー・オール」が、分散型再生可能エネルギー普及の利点を5つにまとめている。 10億トンの二酸化炭素と大気汚染物質を排出しないで済む。 2030年まで、分散型再生可能エネルギー…

【イベントのお知らせ】「資源・エネルギーフォーラム」

来月、所属している「国際資源・エネルギー学生会議」の主催で、講演イベントを行う運びとなった。エネルギー業界の有識者三名を呼ぶので、ご関心のある方はぜひリンク先にとんで頂きたい。 詳細は以下の通り。 日時:12月10日(土) 講演会 14:00-17:00 懇談…

電力会社選びの相談に乗るよ。

「タイムチケット」という自分の経験や仕事を売れるサービスがある。TimeTicket[タイムチケット] https://www.timeticket.jp/そこで「電力会社選びの相談」にのるチケットを売り始めたので、紹介したい。 タイムチケット「電力会社選びを手伝います。」with …

悪い冗談? 汚染を福島に押し付ける石炭火力発電所計画が着々と進行中

福島で原発事故を起こした東京電力が、再び環境汚染を福島に押し付ける。 そんなプロジェクトが現在進行中なのをご存じだろうか。東京電力が4月に発表した以下の文書「福島復興に向けた取り組みについて」の4項目目には、「福島復興電源プロジェクト」を行…

【気になるニュース】テスラが「美しい」太陽光パネルを発表

先週、アメリカのベンチャー企業のテスラが、新しい太陽光パネルを発表した。この太陽光パネルは、従来の工業製品の延長のような外観ではなく、見る角度によって光り方が変わるなど、美しさにこだわった製品だという。経営者のイーロン・マスクの発想では、…

「グローバル化という巨象」

日曜日に2週間に一度発行される朝日新聞の「グローブ」の特集を紹介したい。一番鮮烈だったのは、「象の」グラフだ。 縦軸はここ20年での所得の増加割合、横軸が世界の中で上位何%を占める所得割合かを示している。ご覧のように中央や、中央から左に位置す…

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