一身独立

多動性を発揮し、「21世紀の百姓」を目指す27歳元エリートのブログ。

エネルギー自給のメリット・デメリットを思いつく限り挙げてみた。

【目次】
デメリット1:既存のインフラが無駄になる。
デメリット2:化石燃料産業従事者が失職する。
デメリット3:代替のインフラを考案・構築しなければならなくなる。
メリット1:地域外・海外への富の流出がなくなる。
メリット2:供給途絶リスクが緩和される。
メリット3:環境負荷が減る。
メリット4:海外の紛争・抑圧・環境破壊の要因が取り除かれる。
結論:エネルギー自給の問題はやるか、やらないかではない。いつやるかだ。

デメリット1:既存のインフラが無駄になる。

現在の化石燃料を中心としたエネルギー供給網は、日本のように化石燃料を輸入に頼る国では無駄になる。その中には天然ガスパイプライン・火力発電所・ガソリンスタンドなどが含まれる。しかしこれは社会の変化、技術の進歩、社会の要請に必ず付随する副産物である。インフラは必ず劣化するので、維持費用がかかる。その維持費用を払うに値すべきか、時代を経るごとに再考する必要がある。

デメリット2:化石燃料産業従事者が失職する。

化石燃料の流通がなくなれば、無論仕事もなくなる。無論彼らにも生活がある。失職した後も最低限の生活は出来るようにしなければならない。しかしこれは化石燃料産業を温存すべき根拠とはならない。彼らの生活を保障するためには、化石燃料産業を温存する以外にいくらでも手段はあるためである。化石燃料産業は将来必ずなくなるし、なくさなければならない。問題はいつなくなるか、である。

デメリット3:代替のインフラを考案・構築しなければならなくなる。

日本では地域熱供給が普及していないため、熱の自給のためには熱供給のインフラを一から作っていく必要がある。また新たにつくる再生可能エネルギー発電所は、従来送電網がないところにある場合が多いため、送電線もつくっていかなければならない。エネルギー自給を達成出来れば、安全性と環境適合性はほぼ満たせている。あとはどのように構築していけば、地域全体・日本全体のエネルギー供給を安定的で経済的に出来るか、知恵を絞り実行せねばならない。

メリット1:地域外・海外への富の流出がなくなる。

化石燃料にエネルギー供給を頼っていると、燃料購入費用として地域外・海外に富が流出する。東日本大震災以降、日本の電力供給の3割を占めていた原子力発電が使えなくなった。天然ガスの輸入量が増え、古い石油火力発電所が復活するなど、火力発電が原子力発電分を穴埋めする役割を担った。
化石燃料の輸入量の増加、原油LNGの市場価格の上昇、為替の円安方向への推移などにより、化石燃料の輸入額は2010年度の約18兆円から2014年度には25兆円と約7兆円増加した。貿易収支は震災のあった2011年に赤字に転落、その後も2015年度まで継続して赤字で、2013年度には13.8兆円、2014年度には、9.1兆円と大幅な赤字を記録した。
一方でこれらの富が国産エネルギーに投入されれば、国内でお金の流れが生まれ、雇用が生まれる。
これは地域も同様だ。日本の地方自治体のほとんどは、エネルギー収支が赤字だという。ガソリンやガスや電気を地域外から購入し、富が地域外へ流出しているためだ。日本は森林に恵まれた国で、地域でのエネルギー生産に成功している地域は森林に恵まれた中山間地域が少なくない。地域内の森林で採れた木材で熱を供給し化石燃料の消費を減らすだけでも、地域にお金の流れと雇用が生まれるきっかけになる。エネルギー・コストが安くなれば、工場の立地でも有利になるはずだ。
また場所と規模を比較的選ばない太陽光発電は、地域や小規模資本の味方である。火力・原子力発電は少なくとも数十億円の初期費用が必要だが、太陽光発電は規模を自在に選べる。土地が余っていれば大量に利用できるし、制約があれば制約の分だけ利用出来る。熱利用に関しても太陽熱の出番がある。日本ではほとんど普及していないが、スウェーデンでは地域熱供給を太陽熱で行っている地域もある。無論初期費用はかかるが、地域外から燃料を買わなくてよくなり、固定費用が大幅に減る。地域が行うべき適切な投資と言える。

メリット2:供給途絶リスクが緩和される。

エネルギーや電力は、インフラであり、一瞬足りとも供給途絶が許されない性質を持っている。日本における既存のエネルギー・インフラの供給途絶リスクは、二点に分けられる。
一点目は、海外から輸入される化石燃料の供給途絶リスクである。経済産業省のウェブサイトによれば、2013年度の石油輸入に占める中東依存度は83%に上る。ホルムズ海峡やマラッカ海峡のようなチョーク・ポイントで有事があれば、直ちに日本人の生活は危機に晒されるのである。
二点目は、日本国内での供給途絶リスクである。海沿いに立地している製油所や火力発電所原子力発電所が使えなくなった場合、日本はエネルギーや電力の供給途絶リスクに晒される。特に電力供給における既存の火力・原子力発電に頼った電力網は、一基一基の供給量が大きく、一基がトラブルで供給できなくなっただけでも、重大な供給途絶につながるリスクがある。このような大規模発電所への依存リスクは、東日本大震災直後の計画停電で、明らかになった。
また2017年8月15日に台湾で大規模な停電があった。報道によると、原因は集積していた天然ガス火力発電所のトラブルだったようだ。一挙に420万kw(東京電力の1年間の最大需要の1割程度)の供給能力がなくなり、台湾のような先進国に分類される国は許されない長時間の停電は起こしてしまった。これも大規模発電所に頼るリスクが顕在化した例である。
それに対し、エネルギー自給が進めば電力網は小規模分散型に移行する。大規模な発電所を少数運用する構造から、小規模な発電所を多数運用する構造に変わるのだ。仮に発電所が何らかのトラブルで止まっても、全体に占めるシェアは少なくなっている。小規模分散はリスク分散は意味するのだ。より強靭な電力インフラをつくるためにも、エネルギー自給は解決策となる。

メリット3:環境負荷が減る。

火力発電所などで行われる化石燃料の燃焼は、大きく分けて二つの公害をもたらす。温室効果ガスの排出による気候変動(地球温暖化)と、大気汚染物質排出による大気汚染である。まずは気候変動について説明しよう。
現在の日本の火力発電所の中心は、石炭火力発電所天然ガス火力発電所である。石炭火力発電で排出される二酸化炭素(気候変動の原因となる温室効果ガスの中で、最も寄与度が大きい)の排出係数は、天然ガスの約2倍弱である。同じ量の電気を生み出すのに、2倍弱の二酸化炭素を排出するのだ。
気候変動の被害というと、「北極海の氷が解けてシロクマが住めなくなる」「島国が沈む」といった日本から遠い世界のことと思いがちだ。しかし日本においても、台風の激甚化や農作物の適地変化や海水温上昇の上昇といった形で人的・経済的被害や環境汚染が既に顕在化している。また将来にわたる被害も予測されている。例えば2100年に最大約84センチメートルの海面上昇によって、東京のゼロメートル地帯の多くが使えなくなる恐れがある。このように気候変動の被害から、日本だけ逃れることは出来ないのである。続いて大気汚染について説明しよう。中国における深刻な大気汚染がニュースになる一方で、先進国において大気汚染問題は克服されたイメージがあるかも知れない。しかしいまだに石炭火力発電所などによる大気汚染は、人々の健康を奪っている。環境NPOの調査によれば、2013年の日本において、1日あたり180人の早期死亡が大気汚染によるものと推定される。また東京・千葉エリアにおいて、現存する石炭火力発電所建設計画が実施された場合、その影響は年間260人の早期死 亡者数と、30人の低出生体重児として現れると推定している。大気汚染は、先進国において影響の見えにくい「見過ごされた公害」となっている。このような状況を利用して、石炭火力発電所の建設を正当化する向きには、注意が必要である。
無論再生可能エネルギーにも環境負荷がないわけではない。水力発電は土地を改変しなければならないし、地熱発電は事前の調査で地面に穴を開けなければならないため、開発が規制されている地域もある。陸上風力発電は資材搬入用の道路を建設する必要がある場合もあるし、森林を伐採して開発されている太陽光発電も問題になっている。
しかし適切に開発していけば、環境負荷は確実に低くなる。風力発電は発電時に汚染物質を出さず、ほとんど土地を占有しない。洋上なら巨大化も可能だ。太陽光発電も発電時に汚染物質を出さず、リサイクルの技術も確立されている。


メリット4:海外の紛争・抑圧・環境破壊の要因が取り除かれる。

原子力の安全性を取り扱った「イエローケーキ」というドキュメンタリィにおいて、オーストラリアの先住民であるアボリジニの居住区でのウラン採掘の話が持ち上がる。土地の収用を拒否するアポリジニに対し、オーストラリア政府高官は「既に日本側と契約がある」と迫った。日本の電力利用者が全く知らないところで、私たちは間接的に人権侵害に加担していたとのである。

日本の最大の石油輸入先は、サウディ・アラビアである。女性の人権の問題がよく言われる国だが、現在隣国の内戦に恣意的に介入している。

日本ではほとんど報道されていないが、現在サウディ・アラビアの隣国のイェメンでは、内戦と人道危機が起きている。そしてその原因がサウディ・アラビアに求められると言われている。

ハディ大統領率いる政府と、北部を拠点とするフーシ派の対立に、ハディ側に立って介入し油を注いだ。これには宗教が絡んでいる。サウディ・アラビアの王朝はスンニ派で、同じスンニ派のハディ大統領の政権に倒れられては困ると思ったのだろう。一方でシーア派のスーシ派は、シーア派の盟主国であるイランの支援を受けていると言われており、イェメンはサウディ・アラビアとイランの代理戦争の舞台と化してしまっている。

このように私たちが支払った原油の代金は、めぐりめぐって恣意的な軍事行動にも使われてしまっているのである。

また「日本のエネルギー安定供給」のために、オーストラリアでは自然環境が破壊されている。

オーストラリアでは、伝統的に石炭を日本に向けて輸出してきた。しかし近年は天然ガスの開発プロジェクトが増えている。

その中でも「国際石油開発帝石」がオペレーターを務め、みずほ銀行などが協調融資を行った「イクシス」は、プロジェクト開始に2兆円もの費用がかかっている巨大プロジェクトである。

石炭より燃焼時の汚染物質排出が少ないこともあって、環境に優しいかのように喧伝されることの多い天然ガスだが、気候変動を悪化させるだけでなく、採掘によって現地の森林も破壊している。

このようなプロジェクトを、日本の銀行は「日本のエネルギー安定供給」に貢献する意義のあるプロジェクトとして喧伝している。このような「プロジェクト・ファイナンス」は、扱う金額も大きく銀行員にとって花型の仕事だと聞いている。

大資本のプロパガンダに騙されてはいけない。

このように日本人の生活に欠かせない海外からのエネルギーの購入は、間接的に人権侵害や紛争、環境破壊を助長している。このような理由からも、早急に日本がエネルギー自立を達成する必要がある。

結論:エネルギー自給の問題はやるか、やらないかではない。いつやるかだ。

化石燃料原子力も、大気汚染・気候変動・放射性廃棄物の放出という公害を生み、被害者を苦しめている。そして化石燃料は枯渇の前に稀少化し、大量購入を続けることが難しくなる。特に過疎化が進む地域は、日本全体より早く化石燃料を買い続けれらなくなる。早急にエネルギー効率化(省エネ)、自動車の電動化、熱・電源の再生可能エネルギー化を実行に移さなければならないのである。

エネルギー自給はやるか、やらないの問題ではない。問われるべきはいつまでにやるかである。


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